中国管釣り情報〜ルアーで釣っちゃいな〜

日本にお住まいの方には殆ど知られてませんが、中国の管理釣り場は近年凄まじい勢いで発展しており、まだまだ釣り場環境面は発展途上ではありますが、魚種だけで言えば既に釣り堀天国と言われるタイ王国をも遥かに凌駕してます。このブログでは中国国内のルアーフィッシングが出来る釣堀と、ルアーで釣った魚種を中心に紹介していきます。

未完の釣行

 

の続き。

 


 この湖のことを教えてくれた知人が言うには、とあるルアーマンの釣り熱が高じて、元々ルアーフィッシング対象魚が豊富だったこの湖を含む、一帯の土地を丸ごと買い取っただか、借地したかで、プライベートレイクという名目にてルアーフィッシングが出来る様、整備したと言う事らしかった。釣り堀界隈では耳慣れた話だが、湖の規模感、地理的、気候条件等を考えると、眉唾感が全く無かったとは言い切れなかったのだが、果てしてその話通りで、着いて先ず驚いたのが、仮設では有るが浮き桟橋があり、そこには数隻のフィシングボートとカヤックが係留されており、沖ではボートからキャスティングしているアングラーの姿が確認できた。

 

到着当日に北屯市駅から直行したのは結果的に大正解だった様で、偶然にもこの日偶々来ていたこの湖のオーナーと、早々に会う事が出来、そこは釣り人同士解り合うのに時間は不要という、世界共通釣師法則に例外はなく、直ちに意気投合し、この地を訪れた初の外国人という初回特典も有っての事か、この日の夕飯に誘って頂いたうえ、頭の片隅に追いやっていた懸念事項、宿の問題まであっさりと解決してくれた。
そして、夕飯時にはここでは書けない新疆ウイグル自治区各地の垂涎級ターゲットの話から、タイメン狙いでは世界一のメジャースポットと言っても過言ではない、チュルート川(チョロート川)を含む、モンゴル中部アルハンガイ県のセレンゲ川〜エニセイ川水系以外の、近郊住民以外の釣り人にはほぼ未知であろうと思われる、中蒙国境モンゴル側におけるルアーフィシング現況等、釣り欲を掻き立てらずにはいられない、興趣が尽きない話を色々と聞かせて頂いた。

そして二日目は、頻繁に開催しているというトーナメント時のレンタル用フィッシングボート(フットエレキに魚探も装備なので、所謂バスボート仕様)を借りて湖を一周しながら打ってみた。

 

シャローは、この地域における代表的な在来種の一種である、イエローパーチ(正式な中国名は河鲈だが、この辺りでは五道黑と呼ばれている。)Perca fluviatilisの魚影が濃く、小型なら幾らでも釣れるが、釣行時は丁度産卵後の安息期で、時期的に大型魚は口を使わないとの事だった。

 

エンジン付きフィッシングボートにフットエレキでの釣りは、非常に楽だし効率も良いが、何となく性に合わなかったので、三日目はカヤックを借りる事にした。このカヤックは偶然にも以前スリランカで使っていた艇と、色も型もほぼ同じだったので、非常にすんなりと分かり合えたし、自分にはこの速度感が向いている様だ。

この日は、フィッシングボートでは入りきれなかった、湖底から伸びるブッシュ帯の奥や、昨日は打たなかったディープエリアを狙って見た。ウィード絡みのディープエリアでは、こちらもこの辺りの代表的な在来種の一種である、ノーザンパイクEsox luciusが飽きない程度に遊んでくれた。

カヤックでは90cm前後の魚でも、それなりに艇を引っ張られる感が有るし、艇縁で派手に暴れて全身に水飛沫を浴びせてくれたりと、よりアグレッシブな楽しませ方をして貰える。

大型魚が目に見えて減っているという、この湖のノーザンパイクEsox luciusのアベレージは70cmといったところだろうか。

 

この辺りでは酷暑期にあたるこの時期は、水温の安定したディープエリアにしか居付いてないのかと思いきや、水さえ動いていればシャローエリアにも入っていた。

 

オーナーによると、この湖でのノーザンパイク最大サイズは126cmとの事だったが、残念ながら今回遊んでくれた魚達の最大サイズは90cm強でメーターにも届かなかった。

此処へ来た初日にオーナーより、この湖に元々のターゲットである大红鱼(Huchotaimen フーチョータイメン)が居ないことを聞かされた時、一日だけ此処で遊んで他に移動する事を考えたのだが、十二分に信頼に足ると思える、新疆ウイグル自治区におけるルアーフィシングエキスパートでもある彼から、今後はどうなるか分からないが、残念ながら、少なくとも現時点では、動物保護の観点から新疆ウイグル自治区内で、大红鱼(Huchotaimen フーチョータイメン)を合法的に釣っても良いとされる場所を探しだす事は不可能だ、と言い切られてしまったことで、今年一月末から悶々としていた事の一つに漸く諦めがつき、滞在時の天気同様、終始晴れ晴れとした気分で、此処での釣りを愉しむ事が出来た。

先にも書いたが、この湖はトーナメントを頻繁に開催しており、毎回少なくない数の大型魚がウェインに持ち込まれるらしい。あのフィッシングボートには、メーター前後有る魚体を数匹、ノーダメージでストック出来るライブウェルが装備されているという訳でもないので、恐らく、少なくとも半数以上はウェイン後に放流してもダメージを回復出来ないまま死んでいってしまうだろう。この事について、差し出がましいのは百も承知の上で、オーナーに提言させて頂いたところ、当然ながらそのことは充分認識しており、既に大型魚も見る見る減っているのが現実なので、稚魚の放流や、デジタルウェイン等の他手段を模索中とのことだった。

この、新疆ウイグル自治区で稀にみる素晴らしいルアーフィシングフィールドを、一過性で終わらせずに、是非永続して頂きたいと切に願って止まない。

 

最終日は、オーナーが湖から北屯市駅まで送ってくれた。心底共感、尊敬しあえるルアーマンの彼と知り合えた事が、今回の釣行では一番の収穫だった。

実質3日半の釣りを終え6月8日、21:00 富蕴駅発、阿勒泰-北屯市-福海と経由して、終点である乌鲁木齐駅まで車程908km、12時間後の午前9:00に到着するY966次へ、23:38に途中駅の北屯市駅から乗り込んだ。次数(号数)から察しはついていたが、この列車も往路同様 “中国雪都 · 阿勒泰号” と呼ばれる、有名な割に客室が赤絨毯仕様なだけの旅行客用寝台列車だった。

翌6月9日の午前9:00に終点乌鲁木齐駅に到着。これにて、今年一月末からの断続的な新疆ウイグル自治区釣行は一段落とするつもりだが、また大红鱼(Huchotaimen フーチョータイメン)取り巻く状況が変わり次第訪れたいと思ってる。

ウルムチ〜上海間も往路同様、日数の関係で飛行機を使った。

上空からは、相変わらず数々の魅力的な水系が見え、反射的にGPSマーキングしてしまうが、実際辿り着くには相当な障壁をクリアしないとならないのだろう。