Micropterus属を十把一絡げにした、日本でいうブラックバスという呼び名に相当するのが大口黑鲈だが、ノーザンラージマウスバス Micropterus salmoidesの正式な中国名は北方大口黑鲈で、一般的には単に鲈鱼と呼ばれている。1983年に食用として深セン、恵陽、仏山等に導入され、1985年に繁殖に成功したのち各地の養殖場に送られ、他の外来魚同様に逸脱、特に長江に次いで中国第二の年間流量を誇る珠江水系の養殖場では、毎年洪水よる養殖魚の流出が発生しているようで、急速に野生の個体数が増加している。更に、スポーツフィッシング目的で定期的に放流しているダム等も多いのでそこから逸脱した個体群も多い筈だ。過去に珠江水系とは別の黄河水系にて別の魚を狙っていた際に、期せずして釣れた事があるので既に分布範囲はかなり広い様だ。ただし、日本と違い中国にはイエローチークやスカイゲイザーといった、更に大型のフィッシュイーターが数種存在している水域も少なくないので、全ての水域でラージマウスバスが食物連鎖の頂点に成り得る事は不可能なのと、食用として人気な上に非常に釣り易いタイプの魚なので、日本の様に何処にでも定着出来てしまう可能性はかなり少ないと思える。御存知の通り、アメリカをはじめ日本でもこの魚を専門的に狙う熱心なルアーマンが多いスポーツフィッシング対象魚で、ここ中国でもルアーフィッシングと言えば真っ先にこの魚の名前を上げる人が大半なのだが、日本のバスフィッシングとは釣り方も目的も随分と異なるので、何れ別記事で紹介してみようと思っている。この魚について釣り方は説明する迄もないだろうが、肉食性で何でも食べるし好奇心旺盛なので、良い意味でも悪い意味でもどんなルアーにも反応してくれ他のフィッシュイーターに比べて非常に釣り易い。無論この魚も2022年版放流禁止水性生物リストに記載されている。
種別:外来種
難易度:★
最大サイズ:73cm〜
※フロリダラージマウスバス( Micropterus floridanus )の追加に伴い2022/11/02加筆修正。